2009年10月31日土曜日

2009.10.31 富士通・ニフティとの協働

富士通 ニフティ 企業と協働

 10月31日、富士通株式会社・株式会社ニフティ合同のイベントを開催しました。
 この活動は、富士通株式会社と株式会社ニフティの、社員とそのご家族を対象に、里山を知り、里山の保全活動を体験してもらう目的で行いました。今回は、「守れ、SATOYAMA―生物多様性ってすごい!」と題して、観察や作業を体験しながら生物多様性を学べる企画を実施しました。
 当日の活動を報告します。午前中は4班に別れて自然観察をしました。この際、イベント企画に関わった私たちは、参加者の皆様に「生物多様性」についてより深く意識してもらうために、生態系ピラミッドを作りながら観察することを企画しました。班は、歴史班、昆虫班、植物班、環境班に別れ、班ごとに宍塚の会の方にレクチャーして頂きました。私は阿部さん率いる歴史班に参加させて頂きました。
 歩き出すと早速、「オオタカだよ!」と阿部さん。慌てて見上げると、既に見えなくなっていました。残念に思っていると、「ほらあそこ!」今度は見ることが出来ました。空白になっているピラミッドの頂上に、各々「オオタカ」と書き込みます。「これがカラスウリ」「こっちはムラサキシキブ」数十秒歩き進むたびに観察対象が現れます。「教えてもらえなかったら見逃していたな」と思うような何気なく生えている植物でも、「この実は食べられるのよ」「ウツギという木は空に木と書くのよ」といったお話を聞くと、どんどん楽しくなってきます。
 「阿部さん、モグラはピラミッドのどのあたりですか?」と参加者の方々が質問しながらピラミッドに書き込んでいました。興味を持って楽しんでいる様子でした。途中で発見したキクラゲやベニハツタケ、ドングリなどを虫かごに採集していきます。「これも持って帰りましょうよ」「こっちは食料箱にして、そっちに葉っぱを入れましょう」参加者同士の会話もはずんできました。私はキクラゲが木に付いているところを初めて見て、驚きました。宍塚大池を回って、古墳や貝塚を見学し、お腹を空かせて集合場所に戻りました。
続いてお楽しみの昼食です。昼食では、宍塚の竹林の竹を使って食器を作り、手作りの食器を使ってごはんを頂きます。私たちの班は松島さんと一緒に竹林に入り、伐採をお手伝いしました。切った竹をいくつかに分割して運びだし、お椀、お皿、お箸を作っていきます。男性の参加者の方々が率先してノコギリを使って切り、作り方を教え合いながら完成させました。宍塚米などのお料理はどれもとても美味しく、手作りの食器で食べたためより一層美味しく感じました。ちょうど胡桃の木が実を落とす時期で、火であぶった胡桃を味わうことも出来ました。
 午後は、各班に別れて里山保全作業を体験しました。ビオトープ班は、里山内の休耕田をビオトープにするため、水路を掘る作業をしました。 外来植物駆除班は、セイタカアワダチソウの繁殖を防ぐため根元から引き抜く作業をしました。外来魚駆除班は、宍塚大池の外来魚(ブラックバス、ブルーギル、アメリカナマズ)を駆除する目的で網を仕掛けました。私は外来魚駆除班に参加しました。
まず、ボートで池に網を下ろしていきます。池の一部をぐるっと覆ったら、その両端を引っ張って陸に上げます。網に掛った魚を観察し外来魚は駆除します。参加者みんなで力を合わせ、網を引き上げました。かかった生き物を見て驚きました。まるいゼリー状のくらげに似た生き物が大量にかかっていたのです。これはオオマリコケムシというもので、小さな粒状の個体が集まりゼリー状の群体を形成しています。参加者の方々も、衣装ケースいっぱいになったオオマリコケムシを見て驚いていました。参加者の男の子は楽しそうにコケムシを触っていました。私も触ってみたところ、ぐちゃぐちゃと気持ち悪い触感でした。こんな生物が大量に池の中で繁殖していると考えると、他の生物への影響も心配です。水中であるために普段目に見えない池の生態系を見ることができ、「生態系の危機」に対する理解が深まりました。
 あっという間に一日のイベントが終わり、各々とても充実した時間を過ごせたようでした。「次回も是非来たいです」と、ある社員の方は満足した様子で言っていました。私自身、今日一日で宍塚の里山を好きになりました。人が自然から受けている恵み(生態系サービス)は多く、大きく、自然の中で過ごすことが人間にとって大切だと感じた一日でした。


(富士通株式会社環境本部インターンシップ生 Sさん)

【写真について】

写真1 熱心に自然観察をする参加者


写真2 手作り食器に盛り付けた昼食

写真3 宍塚大池で網を引き揚げる様子


写真4 オオマリコケムシ


写真5 大量に引き揚げたオオマリコケムシ

(五斗蒔だより2009年12月号から転載)